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[雑感]アイヌ「先住民族」認定

 既にご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、今月の6日、参議院にてアイヌを日本の先住民族として認める決議が採択されました。21世紀に入った今、やっと日本という国がアイヌを先住民族だと認め始めたと言うことです。

 このことは裏返せば、今まで日本という国はアイヌを先住民族とは認めてこなかったということです。日本という国全体が、アイヌという先住者の存在を無視してきたということです。今回の事件を報道する新聞などを読んでいますと、「政府は~認めなかった。」とし、あたかも政府だけが悪者のように扱う記事が多く見受けられます。しかし、それは政府の責任というよりは結局日本の大多数の国民の意見そのものなのでしょうね。アイヌが先住民族であるということが認められなかった原因、それは結局のところ多数者の「無関心」、ただそれだけだったと思います。

 アイヌが国会において先住民族として認められることで何が変わるのでしょうか。多分、そういう運動に携わった人たち、アイヌであろうとそうでなかろうと、から見ればそれは一つの大きな成果であり、未来へ続く偉大な一歩なのでしょう。でも私達にとって、それは何なのでしょう。何なのでしょうね。今回の決議にしてももっぱら外圧に対する反応でしかないわけですし、私達の中で何かが変わるのでしょうか。

 別に明日から税金が高くなるわけでも安くなるわけでも無し、学校でアイヌ語を勉強させられるわけでも無し。正直、何も変わらないように思えてしまいます。しかし、本当にそうなのでしょうか。何も変わらないのでしょうか。

 僕の好きな言葉に、「たくさんの世界からなる世界」という言葉があります。他にも「忘却に対する戦争」「われわれ抜きのメキシコなんてもうたくさんだ!」などなど色々あります。最後のでピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれらはメキシコのサパティスタ民族解放戦線のスローガンの類です。僕はメキシコの政治にも明るくないですし、サパティスタが具体的にどのような活動、どのようなイデオロギーの下活動をしているかは知りません。でも、初めてこれらの言葉を聴いたとき、グッと来るものがありました。

 たくさんの世界からなる世界、素敵な世界だな、と思います。そしてそれを阻むものは忘却です。忘却は人間の尊厳を根本から破壊してしまいます。それにもかかわらず忘却は普段の生活の中の至る所に居ますし、むしろそれが無ければやっていけないほど私達の生活はややこしいものになっています。何も先住民族だとかそういうことだけでなく、障害、年齢、性別、社会的地位、職業など様々な点で少数者と多数者がいる以上、誰もが何らかの点でマイノリティであって、誰もが何らかの点でマジョリティであるのでしょうね。

 そう考えていくと、アイヌが先住民族だと認められた、ということを自分に関連して捉えられる人はそういう両面的な自分の存在をわかっている人なのだと思いますし、そうでない人は自分がマジョリティである場面では他人を「忘却」し、そうでない場合は他人に「忘却」される人なのでしょうね。

 ただ、人種差別をするフェミニストだって、部落差別をするレイシストだっているわけです。何に関心があって、何に関心がないかなんて人それぞれです。一人が何から何まで気にしなきゃいけないというのは実際無理な話ですし、そんな人が居ればそれはもう聖人君子の類としか思えません。ですから、私達としては「もし自分が今まで意識してこなかった、自分が『忘却』していたことに気づく瞬間があったら、速やかに今までの意識を修正する」ことが最低限のマナーなのでしょうね。

 これに関連して最近読んだ本に以下のような言葉がありました。とてもかっこよかったので引用しておきます。

自由主義とはこの上ない寛容さなのである。それは多数者が少数者に与える権利であり、したがってか つて地球上で聞かれた最も気高い叫びである。自由主義は敵と共存する決意を、しかも弱い敵とさえ共存する決意を表明しているのだ。人類がかくも美しく、か くも逆説的であり、かくも優雅で、かくも曲芸的で、かくも自然に反することに到達したのは信じがたいことである。

(ホセ オルテガ イ ガセット『大衆の反逆』より)

 本当は前後の文章も含めて読んで欲しいのですが、とりあえずこれだけを紹介しておきます。ちょっと格好をつけすぎて恥ずかしいですが、たまには酒に酔ったみたいな、こういう文章もいいでしょ、ということで水野でした。

 後でこの文章を読んだら赤面するんだろうなぁ・・・(^^;
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  • Author:みづの
  • MANAは2005年7月、神戸市外国語大学の有志が中心となって組織した団体です。目的はフェアトレードの実践を通じてフェアトレードについて知識を深めることと大学内や地域におけるフェアトレードの普及でした。現在はフェアトレードだけでなく、貿易・開発・人権など様々な視点から物事を考える・学ぶ場として活動しています。
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