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6月13日(火)のレジュメ

武田です。


6月13日(火)に使用するレジュメをのせておきます。


 


第1回MANA勉強会         神戸市外国語大学 学生会館第2会議室


2006613() 


呼掛人:武田由紀子


使用教材: 


『開発援助の社会学』 佐藤寛 世界思想社 2005


 


はじめに


1.     「助ける」という行為と開発援助


人が「他者を助ける」行為: 人類の歴史が始まって以来存続し続けてきた社会的行動


¨      日常的な「助ける」行為:


·        例:横断歩道のお年寄り、迷子、妊婦に電車で席譲るetc.


·        動機:見返り、良心にしたがって、喜びetc.


¨      開発援助:基本的には「助ける」行為


·        例(対象):都市スラムのストリート・チルドレン、アフリカ飢餓地域住民、南アジアでDVの被害を受ける女性、ラテンアメリカで自活の困難なシングル・マザー、中東紛争地域で教育機会を奪われた子供たちへの援助etc.


·        方法:日本で募金、自分自身が現地へ行って活動、他者のために自分の持っている資源(お金、物資、労働力など)を提供etc.


 


¨      「開発援助」は日常的な「助ける」という行為とまったく同じだろうか???


筆者の意見 → 違う。「開発援助の社会学」が必要。


¨      なぜ同列に扱うことができないのか?


理由:開発援助に固有の問題点がある。


支援学(どういう支援をいかに行なうか)との比較において:


·        支援学:「被支援者の意図」を尊重することの必要性が強調されている。


·        開発援助:被支援者の意図が必ずしも明確であるとは限らない。支援する者が「被支援者の進むべき方向性」を誘導することも多い。


 


2.     異文化間資源移転(贈与)としての開発援助


開発援助の特徴: ①資源の移転を伴う  ②異文化間で行われる


 


新しい異文化間資源移転としての開発援助:






















登場時期



20世紀半ばまで



20世紀の半ば以降



現象



「戦争」と「交易」



「開発援助」



特徴



「交換」と「即時性」



交換の原則なし・即時性なし




 


特殊な贈与形態としての開発援助:



























 



一般的な贈与



開発援助:特殊な贈与



贈与の場



同一文化内:価値の共有



異文化間:価値を共有しない



異文化間での交流



「交換」が唯一の共有ルール


その場で資源のやり取りが完結



原則的に対価を求めない(交換ではない)。



意図・効果



既存のネットワークの強化・永続、あるいは構築(交換の一般的機能)



社会的行為として、行為主体に何らかの目的がある。社会的に何らかのインパクトあり。




 


3.     善意は善行を保証しない


¨      スラムの子供たちへの鉛筆やノートのプレゼント。彼らの人生が好転するのでは?


→ 現実には子供たちはそれを文具屋に売って麻薬を買うかもしれない


¨      靴磨きの少年にその仕事ぶりに感心し、相場の100倍ものチップを渡す


→ 外国人を選んで仕事し、法外な値段をふっかけるようになるかもしれない


 


「助ける」という社会的行為にともなう一般原則:


¨      相手の事情を無視した善意は、相手を困惑させる


¨      相手の自己認識とこちらの認識のズレは相手を侮辱する


¨      相手の価値観を無視した支援は相手の生存戦略を歪める


¨      安易な施しは人を堕落させる


異文化間、共通ルール不在という条件下の開発援助をめぐってはより重大な影響をもたらす


 


これまでの開発研究:


¨      援助のあり方に対する規範的・理念的な考察


¨      援助をめぐる「腐敗」「汚職」などの不正摘発


 


開発援助の社会学の視点:


¨      「善意の人」VS 「悪意の人」ではなく、「普通の人々」が援助をめぐってどんな社会的行為を取り結んでいるのか


¨      「支援者」と「被支援者」のコンタクト・ゾーンに生起する事象を考察


 


3章 開発援助という行為と用語


3 贈与という行為


¨      贈与(プレゼント)としての援助: 


·        「有形」:機械、道具、病院・学校などの建築物、インフラストゥラクチャー(道路、発電所、灌漑水路)etc.


·        「無形」:技術移転、特許や知識の伝授


¨      「うれしさ」を決める要因:  携帯電話をプレゼントされた場合


·        経済的価値(資源の移転による、資産の増加)


·        誰からもらうか(親、友だち、恋人etc.


·        理由付け(いつでも声がききたい、緊急時に連絡がとれるように)


·        受け取る側がそのプレゼントをどう受けとけるか(愛情表現、束縛)


¨      贈与の効果を左右する要因:  高級車をプレゼントされた場合を事例に


·        受け取る側の維持コスト負担能力に依存


·        環境やインフラの整備状況に依存


·        受け手の活用能力に依存


 


7 援助の非対称性


¨      発展の程度が異なるアクターが存在すると仮定


格差が存在するからこそ資源移転が発生。


援助(資源移転)は与え手・受け手の関係が非対称であることが前提。


¨      「与える」「受け取る」という非対称な関係によって政治的パワー(権力)が生じる


贈与する側がパワーの行使を意図していなくても、被援助者が援助行為の背景に権力を察知して贈与者の望む行為を自主的に選択することもありうる。


 


9章 住民参加のパラドクス


1 多様な参加の解釈


¨      「参加型開発」:


住民参加型開発が必要な理由(村長の家の敷地内に作られた井戸の例)


流行語の体。しかし、参加型がすべての場面で最も適切な開発援助戦略ではない。


¨      参加型のバラエティー:


1.      名目的参加


2.      受け身的参加


3.      協議的参加


4.      物的インデンティブによる参加


5.      機能的参加


6.      相互行為的参加


7.      自発的動員


 


村の小学校建設プロジェクトの事例:


¨      ドナー(援助者)側の専門家による学校設計


 技術的専門性、もっとも効果的な設計図を作成


¨      「参加型」開発の身振り


·        建設着工前の住民への形式的説明会


住民も意見を言えることが前提となっているが、実際には計画変更は視野にない。住民は合意するかどうかだけを意思決定することが求められる(2受け身的参加)。


·        基本的設計図を提示しながら、意見を求め、それを参考に微調整(3協議的参加)。


·        計画についてはほとんどドナーが行い、実践には住民が労働力を提供し報酬が与えられる(4物的インセンティブによる参加)。


·        単なる雇用労働では参加とは呼びにくい。住民にも供出しうる資材の負担を求める(5機能的参加)。


·        計画当初の段階からの住民参加。住民の経験、知識、ニーズが設計に反映されやすい(6相互行為的参加)。


¨      しかし、結局、どの段階から、どのような人に、どの程度参加してもらうか、を計画するのは多くの場合、部外者であるドナー。


 


11章 援助はえこひいき


1 援助はえこひいき


¨      誰に援助が届いて誰に届かないかは、多くの場合は援助する側の論理(正義感、合理性、援助予算消化の効率性)によって決められる。


¨      問題は、ドナーの論理と受け手の論理は異なっていることが多く、ドナーにとって公正なことが、受け手にとっては公正でないということがありうる、という点。


¨      それが、受け手には「えこひいき」と映る。ときに激しいジェラシーを生み、プロジェクト実施の障害となる。


 


2 ジェラシー


¨      バングラディッシュでのシャプラニールによる女性への所得向上支援プロジェクト


¨      エチオピアでのJVCによる農村への食糧支援プロジェクト


ドナーの側での論理は整合性があり完結している。が、受け手社会はその論理を共有しない。


大切なことは、女性を援助するとき、その社会の男性がどう思うか、農村を支援するとき、その近くの町の人たちはどう思うのかを見極める努力。


 


3 社会的弱者とアファーマティブ・アクション


アファーマティブ:   積極的な是正


¨      アファーマティブ・アクション:


195060年代のアメリカの公民権運動の高まりの中で、黒人の社会参加や白人社会との統合を進めるために、これまで差別されてきた黒人やマイノリティーを優先的に大学に入学させ、就職でも優先枠を設けて採用せよと定めた一連の措置。


時限的には効果ありと考えられ、実際にある程度格差是正に成功した。


·        反対意見:逆差別ではないか


·        アファーマティブの当事者:釈然としない気持ち


 


4 ジェンダー平等への対応


¨      「ジェンダー(男女)は平等であるべき」という言説:


正しいと思うけど、苦手だなあ・・


男性:日々反省を迫られているよう


女性:かわいいスカートが欲しくなるのは、自覚が足りないのかも


 


¨      途上国社会での女性を対象とするプロジェクト、ジェンダー平等を説くプロジェクトへの現地の男性たちのジェラシーや不信感:


これを正しいと確信している人もたくさんいる。


しかし、釈然としない気持ちを抱えている人も多い。


そうした人に対し、外部からの援助介入者が「あなたの考え方は遅れている/間違っている」と指摘し、「その考え方と行動を修正しなさい」と「啓蒙」するとする


 どうなるか?


人間の生活実感や生活態度はそう簡単には変えられない。


 


¨      ジェンダー平等要請の受け入れ:


·        ドナーは、受け入れ側よりも多くの資源、より多くの力をもっていて、非対称な関係の下にプロジェクトが進められている。


·        受け手側は、より多くの資源をもらうために、多少に不便や不快には目をつぶりがちだが、それはドナーの論理に合意したことを意味しない。


ドナーを喜ばせるためにある程度ドナーが定義する「民主化」への努力はするし、


芝居も打つ。


 


イエメンでの地域保健活性化の事例:


1997年以降、さまざまなドナーが介入


都市部のドナー:オランダ  農村部のドナー:ユニセフ    


ドナーは、「民主的」で「ジェンダー平等」な住民保健委員会の組織化を要請。


実際には、なかなかそうならない。地域リーダーが選出されたり、女性メンバー皆無だったり。


 


¨      農村で唯一女性が住民保健委員会のメンバーに入っているケース(メンバー6人):


·        住民代表3人:都市居住不在者、学校の先生、高校生


·        保健施設側代表3人:保健所長の男性、保健所女性スタッフの2人(3人は兄妹)


 


¨      地方都市の方では実質的に女性が委員会メンバーとして意味ある活動(役職・発言力)を展開。


成功要因: 


·        女性人類学者のきめ細やかな組織作りへの関与


·        背景として、オランダ政府が従来からこの対象都市にかなりの資源を投入してきたため、市保健局はオランダの意向を汲んで女性を積極的に登用する人事を決定。


 


12章 よそ者のパワー


よそ者の力、外部者のパワーによって援助は成りたっており、このパワーの持ちうる暴力性に無頓着であると、必ずしっぺ返しがくるのである。


 

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みづの

  • Author:みづの
  • MANAは2005年7月、神戸市外国語大学の有志が中心となって組織した団体です。目的はフェアトレードの実践を通じてフェアトレードについて知識を深めることと大学内や地域におけるフェアトレードの普及でした。現在はフェアトレードだけでなく、貿易・開発・人権など様々な視点から物事を考える・学ぶ場として活動しています。
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